ソーシャルビジネス立ち上げ日誌

東ティモールに4年駐在した元NGO職員がフランスでMBAを取得後、 途上国の問題を解決するためにオランダと日本でソーシャルビジネスを立ち上げる話

アフリカだけど、アフリカじゃないマダガスカルlocation

マダガスカルはアフリカ大陸の南西にある、人口2200万人程度の島国。平均月収は13千円程度と推定される貧しい国です。元フランスの植民地で、1960年に独立。フランス語とマラガシ語が公用語として使われています。マダガスカルのイメージと言えば、豊かな生態系。映画「マダガスカル」でも人気になったメガネザルなど、珍しい動植物が生息する豊かな自然を有します。

 

マダガスカルには先住民も居たそうですが、はるか昔にマレー半島から移り住んだ人々が人口の大半を占めるので、マダガスカルの人の多くはマレーシアやインドネシアの人々の様な見た目をしています。そんな歴史もあってか、マダガスカルの人は母国をアフリカと言われるのを嫌がる人すらいます。

コーヒーがあり、平和だけど貧しい国で

 

そんなマダガスカルを訪れるきっかけは、フランスのビジネススクールに留学している際にありました。セメスター間で10日程度の休みがあったためアフリカ再訪を目論んでいました。行くなら、将来起業した際に何か関わりができそうな、コーヒーがあり、平和だけど貧しい国。そんなフィルターでアフリカ各国を見ていて渡航を決めたのが、マダガスカルでした。

 

マダガスカルの魅力

 

私にとってのマダガスカルの魅力は、美味しい食事、優しい人々、そして美しい地形にあると思います。

友人に紹介してもらった親日派のダニーには、ホームステイをさせてもらうなどご家族にも大変お世話になり、今では渡航する度に泊まらせていただける仲になりました。特にダニーママが作ってくれる食事が美味しい!インドネシア料理に似た、ココナッツミルクやキャッサバの葉、鶏肉、そしてお米からなる食事は、栄養バランスも良く、とても美味しいのです。
IMG_20190602_191953
この日のディナーは、鳥ガラスープとフライドチキン、そしてトマトやたまねぎなどを刻んだサラダをご飯と共に

また、マダガスカルで出会う人は親切で礼儀正しい人ばかり。ある日車がエンストして困っていると、どこからか人が集まり一緒に車を押してくれ、私が「Merci!」というとなぜか彼らまで「Merci!」という始末。
IMG_20190605_141150(2)
マダガスカルの人々は笑顔が素敵すぎる

首都のアンタナナリボには丘がたくさんあり、特に夕焼けは圧巻です。地方に行けば豊かな自然があり、不思議な動物や植物にたくさん出会うことができます。
IMG_20190625_171912

コーヒー産業の現状
 

初めてのマダガスカル訪問中、多くの会社や省庁、NGOの方々からヒアリングをし、コーヒー農家の方にも会いに行きました。マダガスカルで生産される多くのコーヒーは、低品質・安価で知られるロブスタ種ですが、年間10t程度はアラビカ種が作られていることがわかりました。
 

コーヒー農家の精製方法は、ウガンダと同じく、コーヒーを収穫して実を地面で乾燥するナチュラル製法が多く、またコーヒー農園や苗床の管理能力に乏しいため、コーヒーの生産性が低いことがわかりました。味も、お世辞にも美味しいとは言えないもの。
 

ただ、植わっている品種はブルボン、イエローブルボン、そしてティピカ種で、さらに、非常に肥沃な土壌が広がっていることを考慮すると、高品質のコーヒーを生産する環境があることは一目瞭然でした。
 

マダガスカルを離れる頃には、私が貢献できることは明確でした。コーヒー農家へコーヒー生産と農園管理のトレーニングをし、高品質のコーヒーができた時には、市場と結び付けて彼らの収入を上げ、最終的にはコーヒー農家の生計向上に貢献する。
フランスへ戻った頃から、起業することを決意するようになりました。
16700479_10212157730968226_8279889594048025211_o
マダガスカルのコーヒー農園。アボカドやライチ、バナナなどが一緒に植わっている。
 

2018年、本格的にマダガスカル事業を開始
 

2018年から、現地のビジネスパートナーと共に、マダガスカルのイタシという地域で小農家向けに品質向上支援を始めています。今年から少量のコーヒー豆を日本へ輸入することができそうです。マダガスカルから日本へのアラビカコーヒー豆の輸出は約10年ぶりで、大きな注目を集められるのではないかと期待しています。

今年7月にもマダガスカルへ出張に行ったので、これからその時の出来事やこれまでの経験談を書いていき、皆さんと共有します :) 

69565161_2557306771165089_3630767169362460672_n
バナーの写真の様な格好をして来れば良かったと反省

8月末に、アフリカの首脳や企業たちが集まるTICAD(ティカッド、アフリカ開発会議の略)という国際会議が横浜で行われました。この会議に合わせ、アフリカに関する展示会も開催されました。

われらがBMP Japanは、カカオ事業と関係があるトーゴ大使館と共に、トーゴ・カカオ豆のプロモーションを実施。日本では絶対に商用化することができない、カカオニブを手剥きした商品は多くの方に興味をもっていただき、とても心強いフィードバックをいただきました。
IMG_20171021_110242
展示会で紹介していた、手剥きカカオニブ。チョコレートなどでコーティングすると、ニブにサクサク感とチョコレートの大人な甘味が絶妙に混ざり合う。

また展示会の初日には、トーゴの農水大臣とお話させていただく機会をいただき、特に、農家やアグリビジネス向け融資の改善についてお話させていただきました。

トーゴのマイクロファイナンス機関には、カカオ農家向け融資の利子を40%以上に設定する機関もあり、農家は利子の支払いで生活が苦しくなっています。また、輸出業者向けの融資は担保が無いと実行されず、利子は20%を超えることもあります。結果的に、利益率が10%を切ることが多いアグリビジネスの経営者や、私たちの現地パートナーは銀行からの借り入れができず、事業拡大や設備投資ができずにいます。

スタンドでは他省庁の方々とも知り合うことができ、来月に予定しているトーゴ訪問の際に、引き続き、提言や共同事業の提案などを続けていくことができそうです。

69597404_482161565682430_3036492675126657024_n
お会いして開口一番に、「君たちがチョコトーゴからより多くの豆を買うためには何が必要か教えてくれ!」とトーゴの農水大臣

スタンドに立っている間、本当にエキサイティングな出会いがたくさんありました。
食べる間も惜しみネットワーキングをした結果、TICAD閉会後にジムへ行き計量したら、なんと1.5kgも体重が減少!多くの方と知り合えた上ダイエットもでき、最高の1週間になりました。

ビジネス上の繋がりだけでなく、アフリカ各国に新たな友人ができたことも大きな収穫でした。
特に、Guez Showというアフリカでは数少ないアニメーションスタジオを経営するムフスとは、アツい時間を過ごしました。

会社のウェブサイトにも使える、かっこいいエクスプレイナービデオも作成しています↓
https://www.guezshow.tv/


IMG_20190827_144439
ムフスは一人でアニメーションスタジオを立ち上げ、今では10人ほどのスタッフを抱えるスタジオまで育てあげた。大戸屋のからあげに悶絶した後にセルフィ。


TICAD期間中にお会いした皆さま、お時間をいただきありがとうございました!

次回からは、マダガスカルで取り組むコーヒー事業についてポストしていきますので、お楽しみに!

posters-2590766_1920

21万人のグアテマラ人がアメリカを目指す

 

今年の6月、米ワシントンポスト紙にコーヒー業界を揺るがす記事が出ました。
その記事によると、2018年の10月から2019年の5月にかけ、たった8ヶ月の間に21万人ものグアテマラ人がアメリカへの入国を試みたとのこと。グアテマラ西部では、コーヒーの栽培はかつて貧困から抜け出す方法でしたが、近年のコーヒー価格の下落の影響で、2017年以来、ほとんどの農家が損失を出している状態です。これが要因となって、グアテマラから米国への移民が急増しています。

 

2011年に$4.84/kgだったコーヒー価格は、2018年から$2.20/kgを下回ることが多くなりました。それに対し、Fair Trade USAが主導した調査によると、小規模農家の損益分岐点価格は$2.38/kg。現在は、多くの農家が生産コストを下回る価格でコーヒーを販売せざるを得ない状況にあります。さらに追い打ちをかける様に、気候変動の影響で収穫量が激減する年もあり、結果的にコーヒー農園を手放さなければ生活ができないケースがあります。
C price
出典:Investing.com

何が問題なのか

1. ブラジルでの歴史的増産

今季のブラジルでは、これまでの国内最高生産量を超えるコーヒー豆が生産され、「コーヒー余り」が発生しています。

2. ドル高レアル安

供給過剰になり価格下落要因があるコーヒーが、ドル高レアル安によりさらに下落しています。 多くのコーヒー貿易会社はコーヒーの売買契約を米ドル建てで作成します。ブラジル国内でのレアル建て価格は昨年と変わっていなくても、米ドル建てで販売をするということはバイヤーにとって割引されているのと同様と言えます。
 
原材料を輸出するしかない産地

では、農家やコーヒー生産国は、産地でより付加価値を付けて販売をすることはできないのでしょうか?昨今のスペシャルティコーヒ-の市場拡大は、小規模農家がより高値でコーヒー豆を販売する可能性を広げています。しかし、スペシャルティコーヒ-を販売したとしても、彼らの収入は年間$1000(一日$3以下の生活)にも届きません。さらに、スペシャルティコーヒ-を生産するには特定の生育状況が必要な上、高価な機材も必要。そして何より、高品質なコーヒーに見合う価格を支払うバイヤーが必要で、全ての農家が全量をスペシャルティコーヒ-として生産し、販売できるわけではありません。 
S_8330958598526

コーヒー農家や生産国は、より付加価値を付けて輸出するべき

では、小規模コーヒー農家がコーヒーを生産することで、健康な生活を送ることはできるのでしょうか?効果的な方法のひとつは、コーヒー農家や彼らの代表がコーヒー豆を原材料である生豆のまま販売するのではなく、コーヒー豆を焙煎し、焙煎豆を輸出することです。 弊社のウガンダのパートナー、ゴリラ・ハイランズ・コーヒーの様な、ソーシャルな輸出業者がより多い利益を確保できるようにし、その利益を使って農家へ還元するのです。

ゴリラ・ハイランズ・コーヒーは、コーヒー農家による森林伐採とマウンテンゴリラの生息地減少を食い止めるため、コーヒー農家へより高い金額を支払う方法として、ウガンダ国内で焙煎する事業を行っています。産地で焙煎を行うことにより、潜在的にコーヒー農家の収入を現状の6倍にもできる可能性があります。
GHCteam
常識を打ち破らないと、コーヒー産業はサステイナブルにならない

産地でコーヒーを焙煎する
こうすることでより付加価値を付け、消費者に大きな負担をかけず、コーヒー生産者は販売価格を上げることができる。この試みは業界の常識を打ち破る挑戦です。 誰も手を付けてこなかった手法で、貧しいコーヒー農家の生計向上を実現するため、私たちサプライチェーンを再定義します。私たちの知識、経験、情熱を全て注ぎ込み、生産者・バイヤー・BMP Japan・消費者・社会の5Winを実現させます。

参照

"Coffee’s Price Collapse: How Did We Get Here and What Can We Do?"
https://dailycoffeenews.com/2018/09/04/coffees-price-collapse-how-did-we-get-here-and-what-can-we-do/

"‘The migration problem is a coffee problem’"
https://www.washingtonpost.com/world/2019/06/11/falling-coffee-prices-drive-guatemalan-migration-united-states/?noredirect=on&utm_term=.832a4e262f03

↑このページのトップヘ